ESSAY

 

й 初めての好きな人1

 

 高校3年の頃、初めて好きな同性の人ができた。

 携帯サイトの掲示板で知り合ったのだが、彼の第一印象はマジメ。カッコイイ、とかそんなんじゃなかったけど、でも、なんか理想の大学生って気がした。今の大学生にして黒髪で、かっこつけるように斜めから撮るとかじゃなくて、パスポート写真みたいに真正面で、頭の形はマッシュルームみたい(笑)自分自身、マジメな人間の部類だったから、そういう人を見て安心した。カッコイイ人や彼氏候補を探してたんじゃなくて、ただ気の合う話をできる人を探していた。ネット上で知り合った人と直接会うのは不安だし怖いから、せめて電話やメールでやり取りするだけで十分だと思った。話の苦手な自分としてはメールだけでもよかった。

正しく言うと、僕が画像掲示板に載せていたら、彼からメールがあった。こんな自分にもメールを寄せる人なんているんだな、と思い、名前とプロフだけだったので思い切って言った、「画像送ってもらえますか?」返事はあっさりと帰ってきた。もちろん画像もついていた。マッシュルーム頭の彼だ。素朴な感じ。でも、なんか面白そうで、話があったらいいな。そう思いながらメールを少しずつ交わしていった。今ではその詳細を思い出すことはできないが、しばらくたつうちに電話をしよう、ということになった。あったこともない人と電話で話すなんてはじめての経験だった。しかも、自分と同じバイの人。どんな話ができるんだろう、と半分好奇心で満ちていたものの、その残りの半分は不安の塊だった。

ある日、メール上で「これから電話で話そう」ということになった。自分は受験を控えた高校3年生で、相手は関東地区有名私立大学の大学生。まるで大学入試の受験相談をするようだった。話のネタ帳ならぬ「ネタメモ」を事前に作って、話題がなくなったらコレを話そう、なんてことまでして携帯を手に持っていた。もうかかってくる時間だ。手に汗握るとは、こういうことなのか、とか考えているうちに着信音が鳴り始めた。何秒でとればいいんだろう、そんなことまで考えながら、気づいたときにはもう話し始めていた。「もしもし・・・?」「おーっす、はじめまして〜!」その一言がとても優しかったのを今でも覚えている。それ以降何を話したのかなんてもう頭が真っ白でほとんど覚えていないが、一つだけ覚えているのは、最初の話題が予備校の話題だったということだ。

偶然にも、彼と同じ系列の衛星予備校に通ってた僕はそこに共通の話題を見出せた。「僕は○○先生の授業が僕は好きです。」なんていうと彼はウケを狙ってか、それとも本気でか、「俺は○○先生じゃなくって、△△先生が好きだな。」なんてことまで言い出した。もちろん△△先生は男の先生だ。英語の先生で年は30代半ばながら、ハンサムな顔つきだった。正直どう対応したらいいのかなんて考えていたけど、あまりにも面白くて、今までこんな会話できる人いなかったな〜と思い、話にも拍車がかかった。

毎日電話するようになり、日に日に通話時間も長くなっていった。ネタメモも数日すればいらなくなった。

 

 

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